商標法第4条第1項第7号(公序良俗違反)が指摘された商標出願(その後)

今回の新着情報は、先日新着情報として紹介した、「ワカヤマソウリュウ(和歌山滄竜)」の商標登録出願に関する話題の続編(その後)になります。
「ワカヤマソウリュウ(和歌山滄竜)」に関する商標登録出願が行われた経緯についてはこちらをご覧頂きたいと思いますが、今般、出願人から提出された意見書に対する審査官(特許庁)の回答がありました。
結果は拒絶査定です。
つまり、出願人の反論を認めず、出願を拒絶するという結論になりました。

具体的には、審査官は出願人の反論(意見書)について、最終的に以下のような認定を行い、出願を拒絶しました。(重要と思われる部分を赤字にしています。)
本願商標を一私人である出願人が自己の商標として、その指定役務について採択・使用することは、和歌山県の観光振興や地域おこしなどの公益的な施策の遂行を阻害するおそれがあり、社会公共の利益に反するおそれがあるものといわざるを得ず、当該「ワカヤマソウリュウ」の文字が一つの地域資源、観光資源となり得るものであり、その知名度により強い顧客吸引力を有しており、そのために、それを商標として使用 したいとする者も少なくなく、上記の博物館等においては、所蔵、展示している恐竜の名称等、保有する文化的所産の名称を使用した役務の提供を行うことも少なくないことを踏まえると、一私人である出願人に、本願指定役務について独占使用を認める必要性を見出すことはできず、一私人である出願人に、本願指定役務について独占使用を認めることは、需要者、取引者に対して無用の混乱を招くおそれがあるものといわざるを得ませんので、出願人の主張は採用できません。
以上のように、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しますので、さきの認定を覆すことはできません。」

この認定で最も重要な部分は、「一私人である出願人に、本願指定役務について独占使用を認めることは、需要者、取引者に対して無用の混乱を招くおそれがあるものといわざるを得ません」というところでしょう。
まぁ、当然と言えば当然ですが、出願人の反論を一蹴しています。
改めて、そもそも「ワカヤマソウリュウ(和歌山滄竜)」の発見者でなく、また「ワカヤマソウリュウ(和歌山滄竜)」とは何の関係もない、謂わば部外者である一私人が、なぜ商標登録出願して、その上意見書で反論までして商標権(独占権)を得ようとしたのか、本当に甚だ疑問です。
当職が心配することではありませんが、これまで築き上げてきた「サラリーマン化石ハンター」の名前(評価)にキズが付くことにもつながりかねないと思います。

なお、拒絶査定に対しては、手続上、3月以内に拒絶査定不服審判を請求することが可能です。
和歌山に関係する事案ですので、今後もこの商標登録出願の経過に注目していきたいと思います。