弁理士試験制度の改正

今回の新着情報は、弁理士試験に関するものになります。
先日、再来年度(令和9年度)の弁理士試験から試験制度の一部が変更されることが、特許庁から発表されました。(PDF資料
弁理士試験はこれまでも何回か制度改正が行われてきました。
ただ、今までの改正はどちらかと言えば時代や産業界の要請によるところが大きいものでしたが、今回の制度改正については少し後ろ向きな改正ではないかと当職は感じましたので、当方が最近感じていることも併せて、新着情報としてUPしたいと思います。

まず、弁理士試験は毎年1回行われているもので、一次試験(マークシート試験:5月頃)、二次試験(論文試験:7月頃)、三次試験(口述試験:10月頃)の3段階の試験から構成されています。この点(3段階の試験から構成されている点)については、試験制度の創設以来、変更されていません。

ただ、各試験の内容については、少しずつ改正(変更)が行われています。
因みに、今までの各試験の主な改正点の概要(変遷)は以下のようなものとなっています。

一次試験
 いわゆる「なし解」問題の廃止(大昔は正解の選択肢がない問題がありました。)

二次試験
(1)必須科目の科目数の減少(10時間で10科目→5時間で4科目)
 大昔は特許・実用新案・意匠・商標・条約の5つの科目にそれぞれ2つの問題(各2時間)があり、合計10問(合計10時間)の論文記述をしなければなりませんでしたが、現在は特許・実用新案(条約に関する知識も絡めたもの)が2つの問題(2時間)、意匠が2つの問題(1.5時間)、商標が2つの問題(1.5時間)の合計6問(合計5時間)の論文記述となっています。
 また、現在の必須科目は受験生にどういう措置を採るべきかを考え記述させる「事例問題」が主となっており、暗記が重要となるいわゆる「一行問題(例:特許無効審判制度について説明せよ。)」がほとんどであった、大昔の必須科目とは内容が大きく変わっています。

(2)選択科目の免除制度の導入
 修士・博士の学位を持つ者や一定の公的資格(薬剤師など)を有する者は、選択科目の免除措置を受けることができるようになりました。(なお、当職はこの要件に該当しない者(学士)だったので、選択科目も受験しました。)

三次試験
 今まで大きな改正はなし

今回、二次試験の選択科目について、大幅な改正が行われました。
具体的には、選択科目の見直しが行われ、一部の科目については統合または廃止がなされることになりました。
ここで注目すべきことは、特許庁が今回の改正の理由を「受験者数の減少」としている点です。
あえて誤解を招くような書き方をしますが、上記した今までの改正は、特許庁として、実際の現場で「使える弁理士」を増やしたいという、前向きな意図を持った改正であったと思います。
しかしながら、今回の改正については、受験者が少なくなってしまったので「行わざるを得ない」という、後ろ向きな意図を持つ改正であるように思います。
こんな性質の試験制度の改正は弁理士試験が創設されて以来、初めてだと思います。
試験科目の統廃合をしなければならない程に受験者数が減少しているということ、つまり、弁理士という職業に魅力を感じない人が急速に増えているということに驚いた次第です。

また、弁理士という専門職が時代とともに社会にとって不要になりつつあるのではないかとも当職は思っています。
当職は、兼ねてからAIが進化・普及して現場レベルで使えるものになってくると、分野を問わず全ての士業の業務はそのほとんどがAIに置き換わり、交渉等のごく一部の業務を除いて士業は不要になると思っています。(日本弁理士会などの各士業の業界団体は我々の仕事がAIに置き換わることは一切ない、などと主張していますが、立場上、強がっているだけです。)
弁理士に着目すると、先行調査や、出願・審査・訴訟段階における書類作成という、弁理士業務の大部分を占める業務はAIに置き換わり、本人が弁理士(代理人)に依頼することなく、問題なく行うことができるようになってくると思っています。
極端な話をすれば、当職の世代が弁理士(士業)として独立開業できる最後の世代(だった?)ではないかと思っているくらいです。
今回の弁理士試験の改正は、自分の予想が裏付けられているような感覚を抱いた出来事でした。